今月初めに引越しをしていて、片付かないお部屋に日々の生活が落ち着かないでいましたが、やっとなんとか一息ついた今日このごろです。
そんな中、はり灸学校時代のクラスメイトも訪問施術者としての道を歩きはじめることになり、あと少しで管理技術者の研修というところです。
そしてそんな彼女から出てきた不安のいくつかの中の一つに、寝たきりの方への施術が心配、ということでした。
そうですよね。
店舗で働いてれば、店舗に来れるだけの元気のある方に施術をすることが普通ですよね。
それが設備も整っていない患者様のもとへお伺いしての施術を不安に思うのも無理のないことです。
ですがまずは具体的な施術方法のお話に入る前に、そもそも何故訪問のお仕事が必要なのかをお話しさせてください。
この訪問のお仕事は、店舗に行くことが難しい事情をお持ちの方のお宅や施設にお伺いするものです。
概ね歩行が難しかったり、できても歩くのが大変な方が多く、高齢の方や片麻痺の方が中心となります。
そういった方はどうしても体を動かす機会が少ないために、体が硬くなりやすかったりお痛みを抱えがちです。
更に加齢による筋力低下も加わって、治療が必要なのに店舗に出向くのが難しいという事態になっていらっしゃるのです。
そして近年は国の方針で在宅治療も定着化しており、多くの方がご自宅で療養されています。
私の治療院がある東京都葛飾区は在宅治療がしっかりしている地域で、私たちの訪問施術以外にもドクターの訪問診療や訪問看護・訪問歯科等のサービスの方たちと連携して患者様を包括的に対応していますが、訪問施術の必要性を日々感じています。
これから先、更に高齢化していくことを考えても、増々訪問の施術は求められるものになりますね。
さて、話が少しずれてしまいましたので患者様の方に話を戻します。
そんな訪問施術を必要とされる方への施術になりますが、根治や完治を目指すものよりも、廃用症候群などを防ぐために関節柔軟性や筋力を保ち、体の機能維持するためものとしての意味合いが大きいです。
若い方への施術は出来るだけ完治を目指していくことが多いですが、高齢の方へは無理に完治させようとせずに、できるだけ痛みや辛さが少なく、少しでも体が動かしやすい健やかな毎日のサポートするための施術といった意味合いの方が大きいです。
また、私達鍼灸師としては少し残念なことではあるのですが、鍼やお灸よりもマッサージ的な施術の方が好まれます。
単に鍼灸に馴染みがない方もそれなりにいらっしゃいますし、一定の割合で痛そう熱そうなイメージがある鍼灸を選択されないことも多いです。
加えて鍼灸の施術を受けたことがある方でも、施術を受けるための着替えは訪問が必要なご体調の方にはご負担になってしまうことも大きいからです。
(認知症が強い方もいらっしゃいますし、寝たきりの患者様を施術することもよくあります)
そんな方々への施術は、関節運動やストレッチ的な施術、揉みほぐしなどの施術を行った後に電子灸やローラー鍼を行なうことで、鍼灸の施術とします。
もちろん刺す鍼や火を使うお灸を患者様が希望されればそれを行うので良いのですが、ご希望されない方が多いのでこのような対応となりますが、これらもきちんと認められた施術となりますので安心してくださいね。
ということをボディケアスキルのある彼女にお話しても、
どれくらいの力加減でやればよいの?
どんな格好で施術すると楽に受けていただけるのかな?
などなど、彼女の不安は尽きないようでした。
次回、施術方法や施術の考え方について書いていきたいと思います。